減価する貨幣の例 〜 キームガウアー 

書評

以前の記事で特に印象深いと感じた「シルビオ・ゲゼル入門 減価する貨幣」の「減価する貨幣を実際に取り入れた事例」が幾つかあるが今回は実際に現在も流通しているキームガウアーの例を見てみる。

キームガウアーの成り立ち

ルドルフ・シュタイナー(1861〜1925)というドイツの哲学者の思想に基づいて運営されているシュタイナー学校で経済学を教えていたクリスティアン・ゲレーリさんが授業で地域通貨の話をしたところ、女子学生のうち何名かが興味を持ち実際にやってみようと思って実施されたのが始まり。
場所は、オーストリアから車や電車で1時間から1時間半ほど行った事にあるプリーン・アム・キームゼー(人口約1万人)という場所で始まった。

キームガウアー(地域通貨)の仕組み

この地域通貨は以下のような基本的な仕組みに基づいている。

・法定通貨の担保がある(現在はユーロ担保
・登場機関
 ・NPO
   キームガウアー事務局から100ギームガウアーを97ユーロで購入し会員などに100ユーロで販売。
   差額の3ユーロの利益で活動を実施
 ・一般市民(消費者)
  ・寄付したい事業を指定して、ユーロをキームガウアーに交換
  ・地元商店ではキームガウアーを使う
 ・地元商店
  ・商品の代金で受領したキームガウアーで商品を仕入れる
  ・ユーロを必要とする場合は手数料5%でユーロに変換
  ・キームガウアーを受入れる事によりイメージアップ
 ・キームガウアー事務局
  ・100キームガウアーを100ユーロで販売。3ユーロをNPOに寄付
  ・キームガウアーをユーロに交換する際は100キームガウアーでは95ユーロで受け取り、2ユーロは事務局維持費に当てる
・キームガウアーは3ヶ月毎に額面の2%のスタンプを購入して貼る必要がある

「キームガウアー」の導入効果

・2012年末で633店舗と248のNPO団体が参加
・57万キームガウアー(約7500万円)が流通
・年間売上は645ユーロ(約8億3800万円)に達し、5万6千ユーロ(約730万円)近くがNPOに寄付されている

キームガウアーの素晴らしい所は今もなお流通して中央銀行からも潰される事なく成り立っているという点じゃなかろうか。それにしても、ヴェルグルほどの流通速度ではないのは、時代が違う(ヴェルグルの時は世界恐慌)影響だろうか。

いまいろいろ調べているが、ヴェルグルや、キームガウアー以外にも減価する貨幣を実践している事例がポツポツでてくる。例えば、

シュヴァーネンキルヘン(ここも最終的に中央銀行に地方通過を廃止された
・ヴィア銀行

など。
最近でいえば Orb という会社が独自の仮想通貨と支払いネットワークを構築を作るにあたり、減価する貨幣の仕組みを取り入れているようだ。

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