減価する貨幣の例 〜 オーストリア・ヴェルグルの「労働証明書」

書評

以前の記事で特に印象深いと感じた「シルビオ・ゲゼル入門 減価する貨幣」の「減価する貨幣を実際に取り入れた事例」が幾つかあるが今回はオーストリア・ヴェルグルの「労働証明書」を見てみる。

オーストリア・ヴェルグルの「労働証明書」の成り立ち

オーストリア西部のチロル地方のヴェルグルという小さな町で1932年〜1933年にかけて実施された「労働証明書」がある。
その頃大恐慌が起きていたため、ヴェルグルでも例にもれずかなりの数の人が失業していた。
この時に町長になったミヒャエル・ウンターグッゲンベルガーがシルビオ・ゲゼルの理論を学んでおりなんとか経済を改善すべく、1932年7月31日から減価する貨幣として地域通貨(労働証明書)を発行した。

「労働証明書」の仕組み

この労働証明書は以下のような基本的な仕組みに基づいている。

・新しい月になるたびに額面の100分の1の費用がかかるスタンプを張らないと使えない
・1、5、10シリングという3つの額面に値するそれぞれの労働証明書を発行
・労働証明書にはシリングの担保がある
・2パーセントの手数料を払えば労働証明書をシリングに交換できる、その逆も可能

「労働証明書」の効果

発行当初に労働証明書の偽造が発生!?

最初は町役場の職員に1000シリング分の労働証明書が給料として支払われたところ、3日後には5100シリングの税収が入ってきたと。最初は関係者が労働証明書が偽造されてるのでは!?と疑った程だったとか(笑
ようは、労働証明書が活発に取引される事によって、取引時に発生する様々な税金も払われる事によりその結果税収が増えると。

ちなみにその時のヴェルグルは借金利息だけで5万シリング滞納していたというので、この状況がいかにすごいかがわかる。

様々な効果事例

・以前はボロボロだった町の目ぬき通りが綺麗に補修された
・労働証明書の平均流通額(本には記載がなかったがおそらく1日あたり)が5400シリング
・町役場に同じお札が週2回ほどもどってきた
・当時の厳しい経済状況の中で失業者が4分の1も減った
・税金を前払いする人もあらわれた

「労働証明書」の結末

ただ、オーストリア中央銀行から通貨発行権は中央銀行の特権だ!という訴えを起こされて、1933年9月に廃止になってしまった。

こういった話を聞くと、減価する貨幣を日本でも試さずにはいられなくなる。
身近なところから試せる環境はないだろうか・・・家庭内で減価する通貨を仮想通貨でつくって家族にモバイル端末もたせて流通させるとか。

いろいろ想像するとワクワクしてくる。

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